【祝福】
教会で「言葉に愛はない、言葉をどう愛せばいいの」というシーンは、ラースフォントリアーの神に対する問いの1つの結論なのかもと思った。
尚且つ作品の根幹・ベスの心の叫びなのかなと思った。
ベスの愛への倒錯を村人達の神への倒錯として相対的に描き、そこに善悪のレッテルを貼る事に強烈な皮肉を感じる。
奇跡は起きるものではなく起こすもの、ただ設定がぶっ飛んでて、胸糞だけど個人的に登場人物の心理描写の移り変わりを細かく描写している気がして起伏はそこまで無いのに、不思議な緊張感で見入ってしまう、単なる設定一本頼みの映画とは違う。
周囲から哀れみを受け、神を信じて献身的な一方で、徐々に歯車が狂って異端として子供たちに石を投げつけられ、長老達には最後まで罵られ、居場所を無くして行くのは寓話ぽくて好き
鐘の無い祝福で始まり、誰からも祝福される事の無い沈鬱な鐘の音が最後に響き渡るのはオシャレ
凄惨悲惨なので人を滅茶苦茶選ぶが、見終わった後に多大な喪失感とそれを補う多幸感を同時に摂取できる作品だった。