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奇跡の海のKSatのレビュー・感想・評価

奇跡の海(1996年製作の映画)
3.6
徹底した男尊女卑と権威的な教会が根強い排他的な村を舞台に、不能となった夫への妻による自己犠牲を描いた、いかにもトリアーらしい大作。

ベージュとグレーを基調にした重苦しく殺風景なスコットランドのド田舎の風景だけでもう厭になるが、どこまで行っても旦那に献身的なエミリー・ワトソンの姿は、後半になるともはや観ていて苦痛なレベルだ。しかも、いつものトリアーらしく、見ていてハラハラするようなストレートな会話の応酬が繰り広げられ、神経に来る。本当、ベルイマンといい、ドライヤーといい、この人といい、宗教を絡めた陰鬱な噺が大好きだよね、北欧の人は。

ただ、もう徹底した役者陣の、生々しくもリアルすぎる演技を見ていると、もう否が応でも評価してしまうから、セコい。
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