momofuku

灼熱の魂のmomofukuのネタバレレビュー・内容・結末

灼熱の魂(2010年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

「この国(レバノン)は、いつも他国の戦場だ」

現地の公証人のセリフ。

宗教や部族間の泥沼の争いに他国が介入する。世界中で行われてきた大国の代理戦争を想起させる。

「ノアの時代から公証人がいたら、土地の所有者がすぐ判明してみんな満足なのに」とも。神話の時代、要は大昔から争いの負の連鎖が続いているということなんだろう。

そんな負の連鎖に命懸けで立ち向かって我が子を守ろうとしたひとりの女の物語。バスを襲撃した者たちは、愛する人を殺した一族の者とオーバーラップしただろう。憎しみに駆られて復讐した結果、生まれてきた子供たち。

女は最後には力尽きたけれど、負の連鎖から生まれ出でたその者たちが、身を挺して小さな終止符となった。それは、女やふたごに協力した人たちの平和への祈りや贖罪の気持ちの結晶でもあるだろう。

途中まで観て緊張感に耐えきれず、ネタバレしてから観た小心者ですが、それでよかった。

エンタメとしてよく練られたミステリーサスペンスでありつつ、中東紛争を伝える大変見応えある大作でした。

ゲリラに囚われて孕まされて子を産んだ女たち子たちの苦悩を追ったドキュメンタリー(確かnスペ )を思い出しました。今もなお終わらない負の連鎖。
momofuku

momofuku