えいがうるふ

ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月のえいがうるふのレビュー・感想・評価

4.0
前作から順当に前進したかと思いきや、主人公の状況には驚くほど進歩がなく、人間関係の構図も1とほぼ変わらない。なんなら散々ワチャワチャやった挙げ句のほっこり、みたいな話の展開もほぼ一緒。それでも、ヒロインを筆頭に成長しないダメな大人たちのダメダメっぷりを容赦なく嘲笑いつつも、そんな人間臭くて完璧じゃない者たちへの愛が溢れてて大好きな作品。

鈍臭くてぽっちゃりでふらふら惑ってばかり、でも気取らず素直で鬼ポジティブ、そしてがんばり屋さん。これ、同性からは反感買わないし異性から見ても不動の母性的魅力に溢れてて結局モテるおいしいポジション。まして前作より更にドカンと肥えて、もはや完全にマドンナ枠からは外れたかに見えるブリジットなのに、やっぱり憎めなくてキュート。
この二作目ではそんな彼女にさらに別の方向からのアプローチもあり、その謎のモテまくりがどういうわけか全然嫌味に感じないブリジットのキャラクターは、ある意味奇跡的。そしてそれはレネー・ゼルウィガーにしか体現し得ないものだと改めて思った。

また、コリン・ファーズ演じるマークも相変わらずの堅物で、そのいじらしいほどのツンデレぶりが伝わる伏線回収がたまらない。一方、ヒュー・グラント演じるダニエルのクズっぷりもさらに拍車がかかり、これまた楽しい。この二人のグダグダな取っ組み合いの喧嘩はもはやお約束。

この三者三様のキャラクターに共通するのは、もし現実にそれぞれに似た人物がいたとしても、実際にはその人物ならではのあふれる魅力に説得力をもたせるのが相当難しいキャラクターである点ではなかろうか。
そうした役と演者の奇跡的なマリアージュが叶った作品は強い。
フィクションだからこそ、彼らのようなスーパーヒーローでも絶世の美女でもない、かといって現実にはまず出会えない普通の人間の魅力が成立し、観る者の無いものねだりが叶う映画の世界が輝いて見えるのだと思う。