リラリオ

ソフィアの夜明けのリラリオのレビュー・感想・評価

ソフィアの夜明け(2009年製作の映画)
4.3
ブルガリアの首都ソフィア。格差の広がる社会に喘ぎながら生きているイツォ。
木工技師である彼は、自身アーティストとして苦悩を抱えながら、ヘロインとアルコールに依存し、投げありな生活を送っている。

木工技師をしながら芸術活動→上手くいかねぇ→ドラッグに溺れる→「これはいかん…」→メサドン療法を受ける→が、苦しみは消えず…→今度は酒に依存→消えない苦しみ→「いつかきっと治ると医者はいうが…そんな日は来るのか?」→自暴自棄になる。
クズっぷりパないイツォ、恋人のニキを「コイツ、ただのSEX」呼ばわり→ぞんざいに扱う→誕生日も忘れる→だが、そんなイツォを超愛しているニキ。
忘れられたニキのバースデイ…ニキ自らレストランを予約し、イツォをディナーに誘う→オシャレなレストラン→料理頼まず、酒を頼むイツォ→料理をディスる→「味薄っ!!」→「ねぇ…誕生日ぐらい…楽しい話題を…」→「話すことなんてねぇ!お前が話せよ!」→「どうしちゃったの?私たち何が足りないの?」→「塩だな!」→これには流石のニキもブチ切れる→金を投げつけ、レストランを出ていく→しかし、追いかけることなく、酒を追加注文…飲んだくれるイツォ。

イツォの弟ゲオルギ(17)は、ギャングに入りネオナチに関わってしまう。
スキンヘッドにする→学校サボる→イキがり、だせぇタトゥー入れる→クラブにたむろ→門限破り、親父に説教くらう→セクシー継母の料理にケチをつける→「味薄っ!」→居心地の悪い家…部屋に閉じこもり、ゲーム三昧。ゲオルギも荒んだ生活を送っていた。

誕生日ディナーの帰り道…イツォは、ネオナチに襲撃されたトルコ人一家を助ける。
観光でブルガリを訪れたトルコ人一家→イツォたちと同じレストランで食事→「手頃な値段ね!」「人々も親切で素敵な国!」からの中国ディス→ワインでほろ酔い、ご機嫌な一家→帰り道、ネオナチに絡まれる→「乱暴はよせ!金ならある!」→「はぁ?金なんかいらねぇよ!俺らの街フラフラすんな!」→鉄パイプでボコられ、顔面にキックをくらい、気を失う父→泣き叫ぶ母と娘→帰宅途中のイツォ、襲撃現場に出くわす→「おい!何してんだ!」止めに入る→ぶん殴られ、吹っ飛ぶ→車の警報がなる→ネオナチ退散→救急車を呼ぶ。

大怪我をしたトルコ人父は入院→「おかげで最悪な事態は免れた」お礼を言うが…無愛想な夫妻→めちゃくちゃ美人な娘が謝る→「ごめんなさい。父も母も怯えていて…父の休暇で…兄に会うためベルリンへ行く途中、ブルガリアを訪れたの…」→襲撃され入院という想定外の出来事で足止めをくらった一家→「君、名前は?」→「ウシュル」→「困ったことあったら電話くれ!」携帯番号を教えるイツォ(下心見え見え)

ウシュルたちを襲撃したネオナチ集団の中にいたゲオルギ→イツォは関わるのはよせと忠告→「付き合うのはよせ。アイツらは右翼政治家どもに利用されてる。やるのは髪型だけにしとけ…」→「…」→不就労ジプシー締め出し作戦で政治家に金で操られ、利用されているネオナチ、何も知らないゲオルギ。

見舞い来たイツォに素っ気ない態度をとるウシュル父と母→病室を出て、ウシュルとお喋り→「お父さん呼んでるから、病室に戻りなさい!」母に邪魔される→「アイツらに関わるな!」→「アイツら?」→「ブルガリア人だ!」親切なブルガリア人は…ネオナチの襲撃事件により最悪な奴らになってしまう→「彼はあの人たちと違う!国で差別するなんて彼らと同じよ!」→「とにかくもう会うな!」イツォと会うことを禁じられるウシュル。

イツォの帰宅を待つニキ→「なんで電話出てくれないの?あんたは私の全てなの!」号泣→メンヘラ拗らせたニキを冷笑するイツォ→「…薄っぺらい台詞だな」→「!!」→メンヘラキックをくらう…
ウシュルからメール→「会いたい」→急いでタクシーに乗り、ウシュルの元へ→夜のソフィア→心地よい音楽→いきなりスピリチュアル→緊張に満ちたこの世界→病んだ魂→癒し→私は太陽、僕は月→共鳴…→「明後日イスタンブールに帰る…その前にもう一度会いたい」→明日も会う約束→が、イツォと会っていたことがバレ、予定変更…一日早く帰国することになってしまう。
そんなこととはつゆ知らず、入念にシャワーを浴び、約束の場所に向かうイツォ…。

冷蔵庫の中に置き忘れた魂、
体中で暴れる不安、
どん底…
「もう立ち上がる力がない?」
「力なら残っている…杖は必要ない。ただ信じるものが欲しいだけ…」
内なる善、必死で探すが見つからない、俺の善はどこ?
夜の街を彷徨うイツォ
そして…

どクズ男、人生の再生…
監督の幼なじみでドラッグ依存症に苦しんでいたフリスト・フリストフに自分自身を演じさせる斬新な作品。
が、フリストは撮影途中オーバードーズで他界…
作品は未完成らしいが、そんな変な終わり方ではなかった…。
突然のスピリチュアルにびっくりしたが、色々意味深な映画でございました。
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