シネラー

ビューティフル・マインドのシネラーのレビュー・感想・評価

ビューティフル・マインド(2001年製作の映画)
4.5
数学者ジョン・ナッシュの半生を描く、
アカデミー賞4部門を受賞した本作を再鑑賞。
周囲の支えや愛情を受けながら、
自身の難題と向き合って紐解く天才に
感動してしまう映画だ。

天才数学者ジョン・ナッシュが
苦悩の日々を過ごしながらも、
ノーベル経済学賞を受賞するに至る
までの史実に基づく内容となっており、
一種のサクセスストーリーではあるが、
夫婦愛に友情にサスペンスという
様々な要素も詰まった物語だ。
物語前半にかけては、
天才的な頭脳を持つジョン・ナッシュの
大学での出逢いや国家機密に
関わっていく事での苦難が描かれるが、
中盤の真実によってそれらを
破綻させていく話の構成や見せ方が
上手いと感じられた。
物語後半はジョンが自分自身
と向き合っていく展開となり、
そこでジョンの妻であるアリシアや
学友だったマーティンといった
現実での確かな繋がりが、
彼を再起させていくのはとても尊く思えた。
劇中ではアリシアの苦悩の日々も
度々描写されており、
彼女がジョンと面会を果たした場面や
鏡を叩き割る場面があるからこそ、
最後のナッシュ夫妻に感動できると思った。
終盤におけるペンの場面は
ジョンの功績だけでなく、
その人生そのものが他者から
受け入れられたようで涙ぐましかった。

気になる点としては、
映画を鑑賞している上では無いのだが、
鑑賞後に実際の史実と本編との違いに
思うところはあると言えるだろう。
結果として、
映画としては綺麗に纏まり過ぎていて
現実味が薄いように思った。

ナッシュ夫妻は2015年5月23日、
アーベル賞授賞式の帰路に
起きた事故によって共に亡くなられたのだが、
本作を初めて鑑賞して間もなくの
不幸だっただけに、
個人的にその哀しい出来事も
合わさっている映画でもある。
数奇で難関な人生を歩みながら、
偉大な功績を残した天才数学者の半生を
美しく描いた傑作であり、
個人的に一生忘れない数学者だ。
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