フライ

鬼龍院花子の生涯のフライのレビュー・感想・評価

鬼龍院花子の生涯(1982年製作の映画)
4.2
高知、土佐で侠客として生きる鬼龍院一家と家族の、壮絶で残酷な生き様を描いた素晴らしい作品は、キャストの秀逸さは勿論、五社英雄監督と言う名監督あっての作品。
鬼龍院一家の親分、政五郎を演じた、仲代達矢の凄みは、男として、親分のとしての包容力と狂気に見ているだけで気圧された。そして妻であり子供が出来ない歌を演じた、岩下志麻の親分の正妻として、女としての意地とせめぎ合いの演技に強い誇りと切なさを感じたし、養女松恵への母としての想いに胸が震えた。何よりも貧乏な家から半ば買われて養女に入った松恵の幼少期を演じた、仙道敦子の可愛らしくも健気で、強い芯を感じる演技に泣けたし、大人になった松恵を演じた、夏目雅子の可憐で美しい姿は、侠客と言う家で育った強さ、切なさ、儚さに胸が締め付けられた。そして政五郎と妾のつる との間に産まれた花子によって鬼龍院一家が時代と共に激流に飲み込まれていく様は、素晴らしいキャスト陣の演技、演出で、最高に痺れさせてくれた映画。
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