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張込みの3104のレビュー・感想・評価

張込み(1958年製作の映画)
3.8
実直な作品。真っ当な作り。

地味な映画と言ってしまえばそれまでだが、張込み自体がそもそも地味で汗をかくものだ、というのは冒頭にじっくりと描写される佐賀への汽車への移動を見ればわかるというもの。他にも地方ロケによる街の描写や突然挟まれる空撮シーンなど、手間と暇をかけてきっちりと真っ当に作られている。

では頑張って張込んだだけの“結果”が得られるかというと、これがなかなかうまくいかない。序盤~中盤はターゲットであるところの高峰秀子の毎日変わり映えのしない生活を淡々と見せられることになる。あれ?この役デコちゃんでなくてもいいのでは?(ついでに亭主役は清水将夫だがこれも同じく、彼でなくても・・)と思ってしまうのだが、もちろんそのままさして何もありませんでした、おしまいで済むわけではない。
ネタバレになるので詳細は避けるが、後半に映画が激しく動き出すに伴い、デコちゃんの演技もギアが入る。このあたりは流石というべきかやはりというべきか。そして単調になりがちな張込み描写の合間に、そこに至るまでの捜査の経緯や担当刑事・大木実の背景などを挟むあたりもまた流石というかなるほどというか。

映画は最後、諸々の「これから」を提示して幕を閉じる。どこまでも真っ当で実直に。




あ、一点だけ。
尾行シーンのターゲットと刑事の距離が近すぎやしないか?あれはなんとかならなかったのか・・あそこだけ見ようによってはコントだ。
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