ぶみ

U・ボートのぶみのレビュー・感想・評価

U・ボート(1981年製作の映画)
4.0
ロータル=ギュンター・ブーフハイムが上梓した『Uボート(原題:Das Boot)』を原作とし、ウォルフガング・ペーターゼン監督、脚本、ユルゲン・プロホノフ、ヘルベルト・グレーネマイヤー等の共演により映像化した西ドイツ製作の軍事アクション。
第二次世界大戦下、ドイツの潜水艦「Uボート」が、敵船団に立ち向かいながらジブラルタル海峡を突破する姿を描く。
ペーターゼン監督が本作品をきっかけにハリウッドに進出したとされるように、今から四十年前の作品でありながら、リアリティ溢れる潜水艦内や、汗の匂い、息が詰まりそうな感覚が伝わってきそうな出演者の演技は、今観ても全く色褪せることはない。
物語の前半は敵船団との戦いが描かれており、潜水艦特有のソナー音や閉塞感が堪らない。
それに対し後半は、前半から一転、海底から浮上するために奮闘する乗組員等の姿が中心となるため、静と動の振れ幅が心憎いばかり。
そこに加え、主に艦が浮上し全速で進行するシーンで流れるクラウス・ドルディンガーの音楽が勇ましく、それだけで否応がなしにテンションが上がってしまう。
また、途中精神的に不安定になってしまう乗組員が登場し、どこかで見たような顔だと思ったら、実在の殺人鬼を描いた『アングスト/不安』で主人公を演じたアーウィン・レダーであったことも見逃せない。
戦争映画らしく、何ともやるせない結末を迎えることとなるが、ハズレなしと言われる潜水艦映画において、トップレベルの面白さとリアリティを誇る良作。

俺たちにも聞こえるよ。
ぶみ

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