ヨシイコウタ

汚れた血のヨシイコウタのレビュー・感想・評価

汚れた血(1986年製作の映画)
3.8
けっこう前に『ボーイ・ミーツ・ガール』を観たので、こちらも手に取りました。

今作でもやはり、ドニ・ラヴァンの顔が頭にこべりつきます。あんな、特徴的要素の塊みたいな顔した人他にはあまりいないんじゃないかなと思うくらい。それもあって『ボーイ・〜』にもあった、彼が人物をじっと凝視するシーンはものすごく強烈で、煮えたぎるマグマみたいな力強さに溢れていてとても惹きつけられます。ただ、泣くアンナの前で鳥のマネをするときの彼はなんというか、狂気的に不細工で普通に笑っちゃった。

ジュリエット・ビノシュの登場シーンには、『Somewhere』でのエル・ファニングのそれを彷彿とさせるあざやかな衝撃を受けました。当人の持つ美しさはもちろん、色の配色によって彼女が引き立っていてよかったです。これは一見の価値ありだと思う。

色の配色に関していえば、他のシーンにも印象的なものがたくさんあって面白かったです。長編のカラー作品はこれが初めてだったみたいですが、夜のシーンが多いことであったり、原色を多用していることだったり視覚的にもとても面白い。

あとは有名な「疾走する愛」をデヴィッド・ボウイにのせて表現したシーンを見れたことが良かったかなあ。指先までエネルギーに満ちた四肢をがむしゃらに振り回して爆走するアレックスには、思わず釘付けになります。