ヨシイコウタ

バグダッド・カフェのヨシイコウタのネタバレレビュー・内容・結末

バグダッド・カフェ(1987年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

見終わったあと、これはぜったいに裏があるに違いないと思ってレビューをいくつか読んでみたけれど、その期待していた裏みたいなものは特に見つからなくて、なんだか置いてかれたような、よく分からない感じになっちゃった……ほんとに、これはただのいい話?

モーテルの女主人が、物語の中盤くらいだったか、車を走らせながら「何かがおかしい」と言う。そのときは、ただ彼女がぴりぴりしてるだけだと僕も思ったんだけど、物語の終わりを意識しはじめたあたりから、今度は僕が「たしかにこれはおかしい…」と何かどうしても飲み込めないものを感じはじめた。もっとも、彼女の違和感と僕の違和感は違う種類のものなんだけれど。

何がおかしいかといえば、あまりにもつっかかるところがなく、あまりにもハッピーに終わりすぎてる。こんなのあるわけないでしょう、みたいな。最後のほうでは「まさか夢オチで終わるんじゃないだろうね」と思ってしまうほどだった。

もしこの映画のストーリーが夢とか、幻覚みたいなもののなかで進行していないんだとしたら、僕には途中で出て行ったタトゥーの女の人が唯一まともというか、現実味のある人間としてうつる。彼女がモーテルを出て行く気持ちはわかるし、彼女はきっと恋をして、どこかへ行きたかったんだと思う。

でもやっぱり、僕には現実と幻想が重なり合った話なんじゃないかという印象が拭えない。ところで、ところどころで挿入されたイメージはなんだったんだろう……一番最初の、ドラム缶に入ってる画なんかはよくわかんなかったなあ。でもけっこう笑えたし、総じて面白い映画でした。