ひでG

グラン・トリノのひでGのレビュー・感想・評価

グラン・トリノ(2008年製作の映画)
4.3
イーストウッド映画というと何を連想しますか?どの映画が一番に浮かびますか?
私は「ミリオンダラーベイビー」
あの衝撃、展開が読めない、決して予想通り落ちないって、勝手に決め込んでいるところがあります。
だから、こういう書き方自体が適してないかもしれませんが、イーストウッド映画としては実にシンプルに作られ、観やすかったです。
朝鮮戦争の傷と栄光を引きずり、頑固で、家族ともうまくいかず、アメ車やアメリカの古きものを愛する典型的なアメリカ老人
子供や孫は愛想をつかし、露骨にグラントリノなど遺産を狙っている。
そのジジイのお隣には、アジア系移民。移民系のチンピラがいて、従わない姉弟がいる。だんだん姉弟と仲良くなり・・・
筋がわかりやすく、入って来やすいオーソドックスな映画と言ってもいい。
ただ、これが「観たことあるよ、そんな話は〜」にならないところがイーストウッド映画の凄いところ。
細かい部分を一つずつ観客に納得させている点。
例えば、頑固なウォルトがタオたちと仲良くなる過程。人種差別的な面もあるウォルトが突然親しくなったら、それだけで客の心は離れてしまう。
でも、ここではウォルトの置かれている立場と彼の人間性から必然的に距離が近くなる描写により、抵抗感なく筋に入っていける。
まずは食欲。その前に誕生日に娘夫婦を追い出して、缶ビールを立て続けに飲む場面があり、歓迎の料理とつながる。
また、ウォルトが妻と結婚したことを自慢したり、タオに口説き方を説教したりすろ場面によって、彼が結構軟派?女好き?てのも分かり、スーと仲良くなっていくのも自然である。
戦士だったこと、技師?だったこたも話の展開、彼の行動とも繋がっている。
作品を通して、民族ではなく、人と人とのつながりがいかに大切か、それをお互いの名前の呼び方で表したり、
終盤のウォルトの行動が、単に個人だけでなく、国家の進み方などにも及ぶのでは想像を膨らませたりと、筋以上の広がりを感じさせる。
余談だか、この映画自体が「反トランプ」だと言っていい気がするのだが。
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