OkadaMasakimi

グラン・トリノのOkadaMasakimiのレビュー・感想・評価

グラン・トリノ(2008年製作の映画)
4.1
物語はごく狭い町内で起こるトラブルだが、不思議とちっぽけでなく、力強さを感じる作品。
妻に先立たれ、身内とも信用のおけない関係だった老人が、うっとうしく思っていた隣家に心を開いていく。大筋だけでは深みがあるように思えないけど、トロい少年と徐々に打ち解けていく、頑固だが思いやりのある爺様をなんともカッコよく描いている。

作中では生と死について何度も語られる。
家族との溝を感じ、妻も亡くしてから、知らず知らずのうちに死んでいたのかもしれない。生の充足感を得たのは皮肉にも盗人がきっかけだった。
一台の車がきっかけで始まった関係は、一台の車を譲渡することで終わる。犯罪者から親しい友人に。グラントリノを取り巻くだけの話だが、クリントイーストウッドの深みがある演技力と綿密な脚本はさすがです。
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