Masato

エクソシスト/ディレクターズ・カット版のMasatoのレビュー・感想・評価

3.8

ホラーの金字塔をついに鑑賞

悪魔は添え物でしかない。というのが注目ポイント。娘に悪魔が取り憑いた時の、人々の張り巡らされた感情を事細かに描き出した傑作。

当時はヒッピーの文化が流行し、若い世代が次々とマリファナ・フリーセックスをするようになったことの、親の不安と恐怖をホラーにしたということは有名な話。この映画の1番に見せたい怖さはリンダ・ブレアの怪演からなる恐怖ではない。

科学の力ではどうすることもできない。娘は訳も分からず体を蝕まれ続けていく。エレンバースティン扮する母親のジリジリとすり減っていく心を見せつけられることこそが、この映画の1番に見せたい恐怖だ。

一方で、精神医学者であり神父の男が、母親と円満に別れることができなかった故に苦しむ姿を、悪魔が抉り出そうとして、ひたすら苦しませていく姿も重要。人の内側から崩れていくものも恐怖だ。

怖さだけが先行しすぎたために、人の内面に注力したホラーがあまりない。評価が高いホラー映画は、どちらの面も優れているものを言うのだろう。

演出も見事で、劇中合計で2秒程度しか現れない悪魔の顔が凄まじい。ほとんどサブリミナルではっきりと見ることはできない。特に、電気が落ちて復活する時に一瞬だけ映る悪魔の顔。恐ろしいね。
こういうことするホラー映画は今でもあまりない。さりげなくあるからこそ怖いのに、みんなハッキリと写してしまう。

あとは、後光がある状態で悶える悪魔や、家の前の電灯の光でシルエットに移るメリン神父など、映像美がちらほら。

名作と言われることはある素晴らしい映画。
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