こたつむり

生き残るための3つの取引のこたつむりのレビュー・感想・評価

生き残るための3つの取引(2010年製作の映画)
3.9
♪ ここは底なし はまるしかない夢
  軽い底なし はまれば救われるね

痛ましい連続少女暴行殺人事件。
それを軸にして、刑事と検事の対立構造を描いた物語…なのですが「なるほど!韓国で腐っているのは警察だけではなく検察もなんですね!」と偏見を抱いてしまう作品でした。

というか、本当に偏見なんですかね。
韓国映画を観ていると、それが“本当のこと”のように思えてきて…いやいや、実際を知らないのに語るのは良くないですね。うん。

ただ、本作の登場人物は曲者ばかり。
唯一真っ当なのが、マ・ドンソクの兄貴が演じる刑事くらいなのです。いやぁ。ある意味でギリギリのラインですよね。“あの”兄貴が真っ当なんて…ガクブルですよ。

また、安定のユ・ヘジンは健在。
彼が出演しているだけで「ああ、韓国映画だな」とホッとできるのです。僕の中では、ソン・ガンホ、マ・ドンソクに並び立つ名優。本作はその三巨頭のうち、二人が出演していますからね。まさに韓国映画オブ韓国映画(言いづらい)。

まあ、そんなわけで。
えげつない物語を描かせたら天下一品の韓国。
誰も彼もが一筋縄ではいかないので、物語の構造を把握するのに時間が掛かりますが、そのハードルを越えれば面白さしかない作品だと思います。

特にバブル崩壊も真っ青な“株価急落”は見事。
いやぁ。人の印象って容易く変わるんですね。最初はかなり格好良かったんですが…思うに韓国人って気質が真っ直ぐ過ぎるのでしょう。それゆえに融通が利かす、気付けばズブズブと沼に嵌るのです。

勿論、それを認めれば良いんですけどね。
過ちを認めるのは誰でもツラい話。そこから目を逸らし、事実を正当化するために“積極的”に関与してしまうのです。日本で暮らすのも楽ではありませんが、韓国で暮らすのも大変そうですな。

最後に余談として。
邦題の“3つ”がいまいち分からなかったのですが…というか『桃太郎』という物語に『鬼退治』と付けるのではなく『海辺に転がる鬼のパンツ』と付けたような…そんな違和感が…。
こたつむり

こたつむり