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マッドボンバーのarchのレビュー・感想・評価

マッドボンバー(1972年製作の映画)
3.5
『ダーティ・ハリー』によって刑事映画のブームの時代に生まれながら、どこか異質に孤立した作品と言われ、確かにそう感じた。なぜならこの映画がフォーカスしているものは犯人の心理とその虚ろだからだ。

爆弾魔とそれを追う刑事、そして爆弾魔を唯一知る現場に居合わせたレイプ魔。ディテクティブ的な段取りを踏んでいくストーリーは単純ながらも面白く、意外にも渋く地に足のついた作品になっている。人相のシーンが最高だった。
爆弾魔は腐敗した社会に対して恨みを持つ男で、その背景にはヘロインで死んだ娘の復讐がある。レイプ魔と爆弾魔が非常に爆弾魔よりの視点で比較され、爆弾魔に一種の同情を感じるように構成する。しかし、本作は巧妙に爆弾魔の持つミソジニー的な価値観を描写することで両者は殆ど変わらない社会(または女性)の敵であるとする。特にラストの娘の影を観た男が、女性視点でレイプ魔と等しく敵視される描写から社会から孤立する形でひとり自爆する姿までが、如実に表しているようだ。
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