jonajona

1984のjonajonaのネタバレレビュー・内容・結末

1984(1984年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

有名な本作をいつかいつかと思いつつ見逃してきたのでようやく鑑賞。
ほんとは小説から入りたかったけどまだ読めてないのでそちらも楽しみ。
完全に『ビッグブラザー』に統制された世界…ディストピアっぷりが物凄く深くて面白かったです。

2+2=?

『未来世紀ブラジル』とかなり雰囲気が似てて、時代的にも結構近いのかな…?
イメージ的にあちらはどぎつい劇彩色で、こちらは白黒の退廃的な世界観って感じでしょうか。好みによりけりですがブラジルの方が好きだったかも。テーマのわかりやすさは1984かも。このムード感も捨てがたい。

印象的な点は、全体的に色味が限りなくなくて抑制されてて、唯一繰り返し出てくる主人公の夢の世界(草原)回りの展開だけ色鮮やかで観ていて癒されるんですが、それがまさかラストに至る頃には愛情省に感情統制される展開の予知的な伏線という絶望感…
あれはすごくキチいですね笑
ネズミがトラウマっていう人にあの拷問を仕掛けるあたり鬼。最低!
拷問回りの掛け合いが本当に辛かった。
指見て『4本』電流体引き伸ばし
『分からない』と言う頃には本当に視覚的にもボヤけて5本にも見える状態になって
『良くなってきてる』

ビッグブラザーが存在するのか?という問いへの回答が、存在する。
僕と同じように?の問いには、いや君は存在しない。という鬼畜の答え。
ビッグブラザーが市民の心に内在され、個人が失われることがこの世界のゴールという事なんでしょうね。
まじディストピア。

ヒロインの女の子のキャラも良かった。色んな人とセックスするって普通に現代だとただのヤベェ女だ…て思うかも知れないけど、この時代背景だととんでもない覚悟…。統制を逃れる感情の象徴的な存在として主人公の前に現れるんだから、意外性があったけどヒロインとしてなるほど!という人物。あと普通に綺麗でエロくてありがとうって感じでした。誘い方が切れ端に『愛してる』だけなのも凄いハッとさせられた。ディストピアではそれだけで十分なんだろうね。

ギミックの所で、普通に主人公のデスクのシュコン!って筒が出てくるパイプ巻とかああいうの好き。アナログな感じ。
千と千尋の風呂場の木札みたいなね!

自由な思考の統制って、昔から危ない危ない言われてるけど本当に最近危ない所に来てる気がする。
SNSが普及して一人一人の心理的な距離が本来遠い人の所までのびて行ってて、自分自身が本来なにに関心があったのか?見失うくらい個人の庭が広くなってる。
庭の中に不安要素があると自分ごとと捉えて人は騒ぎ出すけど、本当にそれで良いのか…?そこまで関心を持つことが偉い事なのか?何か見失ってないか?と思う。
ビッグブラザーは不安を外部に設定して内部での組織維持を成り立たせる為のシステム構造の名前って感じ。現代でも全然色褪せないこの危うさ…


(以下、世相に関しての殴り書き)
まさに今の『自粛警察』って人たちが憚ることなく正義を口にして違法行為に働いたりも怖いけど、それよりヤバく感じるのがなんの気なしにテレビで浮気したお笑い芸人が袋叩きにされて、それがエンタメとして消費され、さらには今度はそれはやり過ぎだ…と言って記者陣を叩いたり。
似た現象が『GOTOキャンペーン』の再開催と即時中止への『両批判』でも見られるけど、結局これはメディアの信念が形骸化してて『視聴者(市民)が求めるエンタメ(偶像)を見せておけば黙ってついてくるだろう』という姿勢が露見してるってことだと思う。これダブルスピークの表面化なんじゃなかろうか笑

一つ一つの事象への賛否云々、個人(組織)としての意見は置いといて…
この姿勢を加速させるのってやっぱりテレビとSNSなんだろうな。
ポリコレとかは絶対必要だけど、個人としてこれは嫌いです、好きです、って喋り辛い世の中になるのも違うはずなのに…
トランプが世界に受け入れられるって事象もやっぱり個人が意見を言えなくなってきた世界で竹を割ったように快活に意見表明したキャラクターだから…って部分がでかいのかな。それだけの事で人が熱狂的に支持したりしちゃう土壌が世界に広がってるっていうことなんだろうな。
そうなると本当ヒトラーみたいな奴でもいずれ玉座にまた付ける日がくるかもしれませんね!

わーい🙌ビバ!ディストピア!
jonajona

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