Takaomi

最強のふたりのTakaomiのレビュー・感想・評価

最強のふたり(2011年製作の映画)
5.0
首から下が全く動かない車椅子生活を送るフィリップとヘルパーとして雇われたスラム育ちの黒人青年ドリスとの交流を描いた実録ヒューマンドラマ。

僕は現在一人暮らしをしていて、それと同時にヘルパーさんを24時間使っている。筋肉が低下する病気で指や顔以外はほとんど動かせずフィリップと似たような生活。
毎日13人の人が交代で入るのだが、そこは介護現場ではなく、風呂に入るときだって、トイレのときだって、食事するときだって、笑い声の絶えない何ら変わらない普通の暮らし。友達以上家族未満なゆったりとした関係。

妙な同情や説教じみたことをとにかく嫌うフィリップのことが良く分かる。あくまで障害というのは身体的なことであって、生活や人生においてそんなことを考えて生きてはいたくないと僕は思う。
視力が悪かったとしても、メガネやコンタクトをつければいいのであって、生活や人生のなかで視力が悪いことを考えることなんてない。
目を酷使するのはやめなさいと説教を受ける筋合いもないし、視力が悪いなんて可哀想だと同情されたくもない。

それと同じで障害者だと思って接するのではなくて、一人の人間として扱ってほしい。
後ろから見守るのでなくて、前を誘導するのでなくて、仕事であったとしても隣同士で同じ目線に立ち好きなものを共有し、ただ楽しく笑っていたいだけなのだ。

ドリス自身も複雑で決して裕福ではない家庭で生まれ、差別されることも我慢することもあったと思う。だからこそフィリップを軽蔑することなく、容赦なく言いたいことを言える対等な関係を築くことができた。
フィリップの手となり足となり、フィリップが時にドリスの口となり、お互いのないものや苦手なこと好きなことを尊重し補っていくのは最後まで微笑ましかった。

調子が悪いふりをして警察をまいたり、車椅子の後ろに乗って二人で走り回ったり、パラグライダーに乗ったり、重苦しい誕生会で踊ったり、笑いの絶えないシーンがたくさんありました。
僕にも5年になる仲の良いおじさんヘルパーさんがいるのだけど、家族からは最強のふたりだねと言われる。いつも楽しくてくだらない時間を共有してくれてありがとうと改めて伝えたい。そんな素敵な映画でした。

介護職や障害のある方との関わり方を知るにはぴったりな、映画です!
Takaomi

Takaomi