takanoひねもすのたり

未来世紀ブラジルのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

未来世紀ブラジル(1985年製作の映画)
3.5
テリーギリアム、飛び飛びで何作かは観てるんですが、どの作品でも観た後の感想が、煮えきらないことになる面倒くさい監督です 笑

今作は再観賞。
完全に徹底的に管理され、しかしテロが横行する仮想国ブラジルの話。
役所で働くサムは夢に出てくる美女が気になって仕方ない毎日。
ある日偶然に夢の女とそっくりさんを発見し猛烈に追い掛けるという不審者ばりの行動力を発揮、そのかいあって彼女の名がジルで第3級の容疑者で警察に狙われていることまで知ってしまう。
何とか彼女を助けようと試みるサムだったが。

巨大建築物やダクトフェチには最高のセット。
ダクトは大小、蛇腹から普通の奴まで縦横無尽にやたらめたらセットに使われています。

また結末で出てくるロンドンの巨大冷却塔。
これがまたデカい、スケール感麻痺しそうな大きさ。
これが一番たまらんかったですねぇ…。

ダクトは管理社会の象徴でもあってこのダクトでライフラインが提供されています。
壊れたら手続きに則って修理ですが、
これがまた管理社会だから手続きが面倒なんですね。がっちがちに固められた社会です。

近未来の話だけど、何するにも書類が発生するアナログさ。もちろんヒューマンエラーも発生し、誤認逮捕→遺体紛失という、家族にとってはなくに泣けない事態も起こります。

もぐりの修理屋(テロリスト)の一人にデニーロが出ています。
出番少ないけど多分一番美味しい役どころ 笑

何故か甲冑をつけた巨大な侍がサムの前に立ちはだかりますが、これは「Sam,You Are I(サム、お前は俺だ)」を短く発音するとサムライになるからいうジョーク。

あとちょこちょこと小ネタをぶっ込んでくるんですが、拾いきれない…、サムが貰ったクリスマスプレゼントって結局何?

結末でユニバーサルと揉めたのは有名な話で、
サムとジルのハピエンがユニバーサル推し。
でもそれだと、もぐりの修理屋が紙に巻かれて消えたり、整形依存の母上の葬式の意味が全然分からない。
なので私は監督推しの結末が好きです。
救いが無いけど 笑

映像、世界観はすごい。
めっちゃツボの絵面も出てくる。
美術セットとか半端ない凝りよう。
ヘンテコガジェットやら、ゴルチエもびっくりのファッションとか。

でも物語自体が何かどうでも良いというか…(おいおい)
ちょこちょこぶっ込んでくる小ネタが楽しめるかどうかが肝のような気がします、多分。

なので、あんまり筋は追わないで映像だけ追ってました。
でもあのラストは残酷だなあ。
ある意味で一生夢を見ていられるのかも知れないけれど😅