めしいらず

HANA-BIのめしいらずのレビュー・感想・評価

HANA-BI(1997年製作の映画)
3.3
子どもの死。不治の病に冒される妻。自分の身代わりに半身不随となり後に孤独に耐えかね自殺未遂する幼馴染の刑事。犯人捕縛の際に殉職する部下。彼らや遺族への主人公の負い目。死の気配に取り囲まれ彼もまた強烈に死を意識している。せめてもの贖罪の為の強盗は呆気なく成功し、妻を伴った死出の旅へ。協力者を得つつ犯罪のけじめはきっちりつけた末期。寡黙な主人公と同様に静かなストーリーテリング。そして美しい画。時折挟まれる絵のカットの不思議な印象が効果的。過剰さを避け必要最小限に物語る調子がどこかカウリスマキ作品にも似ているような気がする。死骸に銃弾を何発も打ち込みような強烈な暴力衝動を挟みつつも、終始一貫して静かで穏やかな映画作法が北野の美的感覚の鋭敏さを感じさせる。物語でと言うよりも画で語る作家なのかもしれない。しかしやられっぱなしの金貸しヤクザが些かお気の毒。
再鑑賞。
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