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恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズのhitomaのレビュー・感想・評価

3.8
ジェフ・ブリッジズの孤独でハードボイルドな演技と、それをはからずもこじ開けてしまうミシェル・ファイファーの妖艶な演技が魅力のラブロマンス映画。ミシェル・ファイファー演じるスージー・ダイアモンドは蓮っ葉だが、一度マイクを握ってステージに上がればその歌声と美貌で人々を虜に出来る。そのギャップが、孤独に塞ぎ込んでいたジェフ・ブリッジズ演じるジャック・ベイカーの心を揺り動かしていく様がよく表現されている。街のネオンサインと、煙草の紫煙、アルコールの酩酊感。よくあるハードボイルド的要素かもしれないが、演じる俳優陣が優れているからこそ、陳腐ではなく完成されている。

エンドロールを観てみるとミシェル・ファイファーもジェフ・ブリッジズも実際に歌っている。本当に弾いているかは分からないけれどジェフ・ブリッジズもきちんと手元を映して違和感無くピアノプレイを披露している。最近見たララランドでも思ったけれど、手元だけ別人だったり、歌は差し替えだったりしない所に、海外の俳優のレベルの高さを感じる。容姿が良くてキャラクターが受けさえすれば売れる日本のアイドル俳優とは、俳優そのものの定義が違うんだろうなとさえ思える。ストーリーに関しても興行を気にして単純なハッピーエンドに終わらせる日本の恋愛映画とは一線を画している。SF映画やアクション映画ではもちろん、こういった恋愛映画やヒューマンドラマでも、日本の映画産業、ドラマ産業は欧米に水を開けられている気がする。
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