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マチネの終わりにのhitomaのレビュー・感想・評価

マチネの終わりに(2019年製作の映画)
4.0
平野啓一郎原作小説の映画化作品。天才クラシックギタリストの主人公とジャーナリストのヒロインのすれ違う恋を描く。

原作小説を読み、平野啓一郎の秀麗な文体と物語に魅せられていた事もあって期待していた作品。アマプラで視聴出来るようになったので早速鑑賞。

福山雅治は原作の主人公の天才性も含めて上手く演じる事が出来ていると感じたが、ヒロインを演じる石田ゆり子は少々残念だった。そもそも原作小説ではフランス人と日本人とのハーフという設定なのだか、そこは改変されている。必ずしも厳密にフランス人とのハーフでなくても良いと思うが、せめて西欧系とのハーフ女優を選んで欲しかった。

演技もお世辞にも上手いとは言えなかった。台詞が一つ一つ浮ついて聞こえてしまい、棒読みに聞こえてしまうところもチラホラとあった。何よりフランス語も英語もカタカナ読みで、自分はネイティブでも何でも無いので偉そうな事は言えないが、伊勢谷友介や福山雅治のそれと比べると、原作の優秀なジャーナリストというイメージを演じる事は出来ていなかった。伊勢谷友介や福山雅治の英語もネイティブの人が聴けばそれほどなのかもしれないが。

それでも全編を通して、映像からは原作小説が描く大人の悲恋を表現する事が出来ていた。何より福田進一の演奏するクラシックギターの音色が美しく、また、演じる福山雅治もやはりギタープレイには違和感が無く世界観に没入する事は容易だった。完成度が高い映画なのは間違い無く、静かで穏やかで、時に物哀しい成熟した恋愛劇を楽しむ事が出来る。
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