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彼女が消えた浜辺のragaのレビュー・感想・評価

彼女が消えた浜辺(2009年製作の映画)
4.0
些事から互いの意思疎通が穏やかでなくなっていく。誰もが悲劇を望んでいないのに、取り返しのつかない事態へと陥ってしまう。表面的な交歓に虚しさだけが残るバカンスの惨禍を通して人の残酷性が浮かび上がる。アスガー・ファルハディ監督は人物の日常会話の中でミステリー要素を加味するのが上手い。他人の素性は完璧にわからない、それが配偶者であっても同様で何故あの時あんな行動をするのか、すぐさま自身の責任回避へと思考する心の矮小を巧みに表現する。体裁や保身、見苦しい様はいとも容易く分断へと導かれる。人は状況によって豹変する不可解な言動はまさにミステリーである。
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