モモモ

ブラザーフッドのモモモのレビュー・感想・評価

ブラザーフッド(2004年製作の映画)
3.8
強制的な徴兵で戦地に赴く事になった2人の兄弟を通して「朝鮮戦争」における「同族通しの殺し合い」で破壊され尽くされる倫理観をじっくりと描く韓国産戦争映画。
僅か半年の中で破壊されていく兄の倫理観、増大する虚栄心、掠れていく兄への信頼と尊敬。
弟の為に武功を上げようとした心に「兵士としての才能」が開花した事で不純物が混ざっていく。
残虐な戦場で「個」を失って、己がその残虐性に迎合していく様が、痛々しく、遣る瀬無い。
しかし「個で人を判断出来なくなった」のは兄だけではない。多くの兵士が、多くの国民が、その様な残虐な人間へと変容していく。それが戦争なのだ。
それ故に妻を失い、弟を失い(これは勘違いなのだが)、兄の憎悪は自国へと向かう。
弟の為に戦場に向かう事になった兄に対して、兄の為にもう一度戦場に向かう弟という構図。互いが支え合ってこそ兄弟、と言う確かな骨格故に、普遍的な感動を得る事が可能な映画になっている。
序盤での奇襲戦の「誰が写ってて何が起きてるのかまるで分からない」戦場のシーンが「戦争の混乱」を体験しているようで好きです。
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