20代前半の頃、500歳くらいまで生きたいと密かに思ってた。理由は貧乏芸術家を50年くらいやったら、次はサラリーマン人生も20年くらい経験してみたい、次の50年は保守政治家やって税金ネコババして、その次は無頼アナーキストやって、要は王子も乞食も経験してみたいみたいな感じ。でジギーが好きすぎてほぼ憎んでたこの頃のチャラいデビッド・ボウイ。昇天後に俺なりに理解したのは、ボウイは70年に満たない限られた時間の中で、カルト王子からポップ乞食まで自ら成って経験してたんだということ。だから当然役者もやり、宇宙人もバンパイアもローマ皇帝も殺し屋もウォーホールも演じてた。そしてこのチャラい映画のチャラい業界人もその一つなだけで、ボウイは誰でもあり誰でもなかったんだと今更ながら理解している。チャラいポップ歌っても抜擢に上手いし、タップダンスまで華麗に見せてくれてる。当然に絵も描いてたボウイ。全てのジャンルで並じゃない。ポップカルチャーの中でこれ以上の表現者はいないと思う。
