アラサーちゃん

欲望という名の電車のアラサーちゃんのレビュー・感想・評価

欲望という名の電車(1951年製作の映画)
3.8
🎦
こないだ観た「欲望という名の電車」。これは名作。人間ドラマにみえてこれはミステリだとおもう。そう思わずに見ていたら、ラストの展開にぽかんとさせられちゃうかも。
後半になってやっと観客が知り得る主人公の過去。主人公に欺かれる映画っていろいろあるけど、このクラシックミステリな雰囲気がとても良いね。

ヴィヴィアン・リーが演じる主人公のオールドミスがすごくいじくらしいんだけど、ほんとに上手い。
ぱっと見るとやっと生まれたばかりのバンビみたいな無垢な瞳がキラキラしていて、でも、よくよく見てみると歳相応な部分が表情のあちこちに出ている。いい年して着飾る物以外一文無しで妹夫婦の元を訪れたくせに、上流階級気取りでカマトトぶる。
見ていて女性の立場からしても、マーロン・ブランド同様に腹が立つんですね。

人生の孤独や挫折から、こんなふうにしか生きられなかった彼女はとても可哀想ではありますけど。

元々、舞台から映画になった作品で、ヴィヴィアン・リー以外は舞台のオリジナル・キャストそのままです。妹のステラを演じるキム・ハンターも粗暴な夫に反抗しながらも尽くしてしまう懸命な妻、姉の過去を知り苦悩しながら姉を愛する優しい妹、いろんな面を持つ女性をすばらしく演じていました。
「ステラ!」と叫びまくる、「ロミオとジュリエット」を彷彿とさせる若夫婦の茶番はこの映画で一番好きなシーンです。

庶民生活を象徴するようなマーロン・ブランドの衣装やアパートの内装なんかもよく映し出されていたと思います。