アラサーちゃん

リコリス・ピザのアラサーちゃんのレビュー・感想・評価

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)
3.5
衝動を追い風に全力疾走ができるのは愛だけだよね。

70年代アメリカって、スクリーンに流れるだけでどうしてこんなに魅力的に映るんだろう。
景色も、ファッションも、目に映る色合いや質感すべてがおしゃれでイキイキしてますよね。平面から飛び出してきそうなほど立体的で「現在」を生きている感じがするから、観ていてすぐにタイムトリップしてしまう。

ピーター・トーマス・アンダーソンの新作。驚くほど群像劇ではなかったものの、その時々で出会う人々が楽しくて、いわば主人公二人の日々の流れを辿っていく時のロードムービー。
アンダーソン映画は「マグノリア」大好きなんですが、レトロとポップ、サイケとアンニュイ、眩しいほどカラフルな色合いの中に、不意打ちの天気雨が降るようにぎしぎしと人間の不協和音が軋み出す。そうそう、こんな感じ。ヒリヒリして、ジリジリと汗が滲んでくる。目の奥と目の奥の探り合い。ショーン・ペンとトム・ウェイツのシーンなんて、まさに真骨頂って感じ。

観終わった感触としては、エドワード・ヤンの大傑作「カップルズ」を思い出す。「アメリカン・グラフィティ」の世界観にあれ?なんかエドワード・ヤンいるな?なんかそんな感じ。

出てくる人間みんなクソ野郎みたいだけど、人間味があって愛嬌があって素敵でしたね。ロードムービーにしても、群像劇にしても、一瞬で登場人物の魅力を映し出せる監督ってすごいなって思いますね。

グレッグ可愛かったな♡