アラサーちゃん

ブロードウェイと銃弾のアラサーちゃんのレビュー・感想・評価

ブロードウェイと銃弾(1994年製作の映画)
3.0
ウディ・アレンお得意の難物な主人公。ウィットに富み、それでいて哲学的な登場人物たちの会話は一瞬たりとも聞き逃せない。どんな相手との掛け合いも、きいていてついくすっと笑える相性の良さ。落ち目の大女優・ヘレンはさながら「サンセット大通り」のノーマを彷彿とさせ、キーキー声の勘違い女優・オリーブには「雨に唄えば」のリナが重なって見える。そんな名作たちへのオマージュを感じさせながら、愛すべき芝居・芸術のために人殺しが行われてしまうというブラックコメディの境地を淡々と描き切る。極めつけは芝居中の裏方で撃ち合いがはじまるが、それすらも芝居のエッセンスになってしまったというブラック返しのラストはまた見事。そしてまた、ジョン・キューザック演じるデビッドはジョン・タトゥーロ演じるバートン・フィンク(@コーエン兄弟)へと繋がっていく(わたしのなかで)