もやし畑

時計じかけのオレンジのもやし畑のレビュー・感想・評価

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
4.5
人間の本質を抉る    

主人公アレックスは強盗、暴力、強姦に明け暮れる荒くれ者。そんなアレックスが逮捕され、洗脳によって暴力と色欲を強制的に奪われる。

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調和の取れた構図や立ち姿、前衛的かつスタイリッシュな衣装や装飾に監督のずば抜けたセンスを感じた。
それに加えてクラシックのBGMと、作品を形作る"側"の要素は美しい調和がとれている。対して、物語の内容は過激かつ暴力、色欲に満ちており、作品全体により強烈な歪みを感じさせる。

究極のところ人間らしさって何なんだろう?暴力は違法とされながらも創作物には暴力が溢れている。避けるべきではあるが完全には切り離すことができない欲望や罪に、人を人誑しめる何かがあるのかもしれない。バランスを保ちながらも危うい歪みの上に人は立っているのではないだろうか。なんてことを考えてしまった。

最後の描写、アレックスのその後が気になるところだ。本作を鑑賞した人とはぜひ話し合ってみたい。
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