シネマJACKすぎうら

マイ・フェア・レディのシネマJACKすぎうらのレビュー・感想・評価

マイ・フェア・レディ(1964年製作の映画)
4.5
いやぁ、すげぇ。面白い。
恥ずかしながら、全くの初鑑賞。

まずオープニングに驚く。画面いっぱいに拡がる花、花、花、、そして音楽!タイトルバックは出てこない。1分くらいだろうか。ひたすら花の映像が切り替わる。
「さ〜♫みなさん、夢の時間の始まりだよ!」と言わんばかりに。。

本編の映像も、とにかく素晴らしい!!
特にミュージカル場面では、”奥行き”を強調した画像が目を引く。ある時は遠近法を生かした構図として、またある時はスタジオを縦横無尽に歩き回る人物をワンカットで追うカメラワークとして、、、舞台のミュージカルでは感じることのできない空間の”拡がり”を、観ているわれわれに実感させるのだ。
かなりの大掛かりなセットを組まなければ、この絵は実現しないだろう。

競馬観戦のシーンも圧巻。モノトーンで統一したキャラクターの衣装、疾走する馬、上からのカメラワーク、もう言葉では表現しきれないくらい気分がアガる(笑。
あくまで私の妄想だが、、
当時、”娯楽”として先行していた”舞台劇”に対抗して、”劇映画”としての独自のスタイルを確立しようとしていた制作者たちの情熱や気概を感じ、なんかジ〜ンとしてしまった。

そして、ストーリーも手が込んでいる。ジュリア・ロバーツとリチャード・ギア共演の「プリティ・ウーマン」って、本作をモチーフにしていると思うが(そういえば、競馬シーンもある)、物語の緻密さ・完成度のレベルはハッキリ言って桁違い。
たしかに当時は、娼婦を社交界にデビューさせるような話は許されなかっただろうし、あからさまなラブシーンも(一般大衆向けの娯楽作としては)ご法度だったに違いない。この厳しい”制約”を、独創的なアイデアと手の込んだ脚本で作品のクオリティに”転化”させている。

物語のテーマは、「社会を構成する”ふたつの属性”の融和」といったところだろうか。
ふたつの属性とは”上流階級(富裕層)”と”下層階級(貧困層)”(映画の前半)であり、”男”と”女”(後半)でもある。

そして、これも妄想レベルの話だが、、
裏テーマ(?)として”年の差恋愛の可能性”も込められてたりして。観たひとには分かってもらえると思うが(笑。
もう50年以上も前から、”ちょいワルオヤジ”需要ってあったんだろうな、きっと。