雨男

市民ケーンの雨男のネタバレレビュー・内容・結末

市民ケーン(1941年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

悲しい話だった。
1人の男の成功と没落を描いた作品。
新聞王ケーン没後、ある会社が彼の一生を描く映像を作る際に、彼が死に際に発した「バラのつぼみ」という言葉の真意を探るために彼に関わる人達へ話を聞きにいく。

彼と関わる人たちは皆、彼の独善的な態度に嫌気がさして離れていく。
欲しいものは全て手に入れているように見えて、1番欲しい「愛情」だけは手に入らなかった。
ジグソーパズルをしているスーザンに嫌味を言うと、スーザンから彫刻を集めるよりましと言い返され、それを認めるシーンがある。
彼がなぜあんなにも物を収集するのか?
満たされない心を埋めるために彼は収集を続ける。しかしこの収集に終わりはない。
ジグソーパズルはいつか最後のピースをはめる時がくる。しかし彼の行為に終わりはない。
最後のシーンでも結局「バラのつぼみ」の意味がわからず彼の城から撤収する際に、「バラのつぼみ」とは彼が手に入れることができなかったりピースのひとつだと言っていた。
そして誰にも知られることなくその言葉の答えである「バラのつぼみ」と書かれた子供の頃に遊んでいたソリが燃やされる。

彼の心は、子供の頃に親元から離された時からずっと止まったままだったのではないか?スノードームは雪の降る彼の住んでいた家のように見える。
大好きな母親から離され、そこで愛を失った。満たされず愛を欲するが、それは全て自分のため、誰かに何かを与えることはない。

結局彼の心には誰も立ち入ることは出来ない。
城への「立ち入り禁止」の看板は、彼の心の中への進入も塞いでいたのか?

金があれば幸せなのか?よくある疑問提起だが、構成が面白く、この時代にああいった手法を用いた点でこの映画は後世に語り継がれる映画ということなのだろう。
雨男

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