雨男

フルメタル・ジャケットの雨男のネタバレレビュー・内容・結末

フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

訓練のシーンでは徹底的に自己を無くして、人を殺すことだけを目的にした新たなる自己を作り上げる。レナードはその過程で狂ってしまい悲しい最後を迎えた。
戦争は敵を殺す前に、まず己を殺しているのか?
主人公のジョーカーは「born to kill」と書かれたヘルメットをかぶり、胸にはピースマークのバッジをつけている。
バッジをつける意味を問われた時に二面性という言葉で説明をしていた。
周りの人間は殺すことに対して開き直っている者が多い中、ジョーカーはどこか冷静な視点を持ち合わせていた。インタビューを受けるシーンでも1人だけベトナムの文化が云々と戦争に来ているとは思えない発言だった。
彼は映画を観ている人と同じ目線を持たせるため、あえてそういった二面性を持たせたのか?ジョーカーという名前もトリッキーな存在という意味も含まれているのでは。
それとも胸には掲げたピースマークのバッジは表面上だけの平和、反戦に対する皮肉なのを意味しているのか?
いろいろと考えてみたが、最後のシーンでジョーカーがスナイパーの少女を撃ったことで、この相反する2つのシンボルを持つ理由は、人はいくら反戦や、平和、またはそういった道徳や倫理観などを持ち合わせていたとしても戦争は人をただの殺人者に変えてしまうという意味なのではないかという考えに至った。

いくら綺麗事を言っても、ひとたび戦場に足を踏み入れれば、人は簡単に殺すために生まれてきた殺戮者になってしまう。
雨男

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