ルイまる子

SAYURIのルイまる子のレビュー・感想・評価

SAYURI(2005年製作の映画)
4.5
2019年ならもう少し日本人スタッフが細かい着物の着方を指導したり小物や髪型化粧、家、部屋、立ち居振る舞い、そもそも芸者とはどういう職業なのか?等の解釈、なにもかも全てに於いて日本じゃないアジアのどこかとミックスみたいなむちゃくちゃな設定にチェックが入るだろうが、本作の時代にはまだまだ日本生まれ日本育ちの人がハリウッドのスタッフなどにはなれない時代だったし、そもそも情報が浸透してきたのはインターネット普及はここ20年なので、まだ世界が日本など知らないのは当たり前。しかしこれは流石にやめて〜と叫びたくなるが、美術、雰囲気、視聴後に哀れな女達への哀悼の気持ちがずっと残るので素晴らしい。それだけでも名作だ。しかし実際、2005年当時でも世界からすれば日本などは中国の一部だとか(いや未だにこの映画を見たのが全く未知の日本って国への興味の導入口って人多いと思う。。。。)しかし、これはこれで良いと思った。当時一番人気だったチャン・ツィイーが恐ろしく可憐で、先輩芸者の妖艶なコン・リーの血の涙を流す様な情念が素晴らしい。先日クレイジーアジアンで久々に義母役で出ていたミシェル・ヨーもまだ若く美しい(今も50代の妖艶さは健在でしたが)。桃井かおりも本作で活躍後ハリウッドへ行ったんだし出世作だったのだろう。意地悪だけど人の良さも共存していて意地悪かわいいおばさんを好演。そういう人ってこの世に結構居るものだと思う。というか基本的に皆芸者全員一人残らず底意地悪い。こんな劣悪な環境で子供の頃から親の借金のカタで売り飛ばされているのだから自分以外を信じないのは当たり前だが、一体何をいいたいのか?という仕上がりにはなっている。

こういう映像美術中心の東洋の雰囲気ミステリアスな美しさだけ最優先の映画にありがちなこと、ストーリーが崩壊してるのも事実。一人の男への思いを支えに強く生きていく芸者の物語。それ以上にはないが哀れにも短い命を終えて行った不幸な女性達への鎮魂歌として見る「おしん」の芸者版か。よく生き抜いてきたな。。昔の女性達は偉い。。と涙を流すのが正しい見方だろう。
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