JUN

スタンド・バイ・ミーのJUNのレビュー・感想・評価

スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)
3.9
リヴァー・フェニックス第二弾。
幼いころ一度だけ観たことがあるのですが、ほとんど覚えていないので再鑑賞です。

「死体をみた。」
小さな町で行方不明になっていた少年の死体を探しに行く、1日と半分だけの少年たちの冒険。持ち物は少しのお小遣いと寝具と、水筒だけ。どこまでも続く線路を辿って、ずっと、狭い街が世界の全てだった彼らは、その世界の狭さを知る。

みんな、父親が精神科患者だったり、一家が不良だったり、父親に冷たく当たられたり、それぞれに問題を抱えている。子供ながらにして、世間の残酷さをよく分かっている、そんな4人の親友たちが主人公の本作は、まるでアルバムをみているような、そんな気分にさせられました。
家族に秘密で、大遠足へ出かけて、なけなしのお小遣いで自分たちで食事を買って。ラジオから流れるお気に入りのポップスに合わせてはしゃいだり、いけないことだとわかっていることだって、4人でなら出来た。"死体をみたい"なんて、きっと大人になってみれば意味がわからない欲求だって、きっとその時の彼らにとってはそれが全て。喧嘩するのだって、慰め合うのだって、純粋で等身大。
まるで、彼らしかいない世界を、少しピントのあっていない写真と、乱雑に書かれた走り書きなんかで出来たアルバムを通して見ているようでした。

人生では、何度も何度も季節は流れて、何回、何十回も夏はくるけれども、彼らにとってのこの夏は、たった一回だけ。
彼らは、きっと気づいていたのだと思います。これから先、同じような夏が二度と来ないということを。この時が、"永遠"であるということを。

後から思い返して「あの思い出は最高だな」と思うのは簡単なことかもしれない。けれども、今、その瞬間で、この時は二度と訪れない"永遠"なんだ、と思える人はどれ程いるだろう。どれ程の人が、そういう経験をすることができるのだろう。
私は、沢山の「最高」な瞬間を過ごしてきても、「きっとこの時は、いつか"思い出"として塗り固められてしまうのかもしれない」と、ふと思う時があります。いつかそんな私にも、彼らのような"永遠"が訪れるのでしょうか。

エンドロールを眺めながら、そんなことを思いました。
JUN

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