JUN

哭悲/The SadnessのJUNのレビュー・感想・評価

哭悲/The Sadness(2021年製作の映画)
3.6
観たら吐く。

と噂の問題作。Netflixに来ていたので、やっとの思いで鑑賞。

個人的には「なんだ、これくらいなのか」といったところ。公開当時相当「ヤバい」と評判だったため、一体どんだけヤバいのか、と思ったものの、なんてことはない、これくらいなら全然許容範囲のゴア表現である。(当社比)

ストーリーとしては、狂犬病に似た性質を持つ突然変異ウイルスが蔓延しはじめた街で、出勤していった彼女を迎えに行く彼氏と、変態おじさんに追いかけられる羽目になってしまった彼女が、無事出会うことができるのか?
というもの。
視点が変わりながら、カオスと化していく街を克明に映し出して行くところが見どころ。
ゾンビというわけでもなく、自我を保ったまま「衝動」を抑えきれない感染者たちの生々しさが新しく感じた。
なんだかんだ一番のトラウマシーンはおそらく、あの渡辺◯美似の彼女の目玉突っ込みシーンですかね……

この話はストーリーが単純だからこそ、感染者たちの異常性が際立って耐性のない人たちからの「ヤバい」評価を得ているのだろう、と思っているのですが、個人的には「ヤバさ」を推すくらいなら一緒に「理性を残したまま抗えない欲望に苦悩する」というこのウイルスの特性を描いて、もっと感情揺さぶられるものにしてくれてもよかったのかな、と思ってしまった。
感染者全員が全員「抗えない暴力的な衝動」と「生物的に無秩序な性欲」をもれなく発揮していたわけですが、感染してもかろうじて抗っている人とかいてもいいんじゃないの、という……
そして、「この恩は絶対に忘れない」という渡辺◯美似の彼女の言葉は一体……………………多少のドラマを期待していた……

しかし、彼女のあの孤独感というものがより恐怖を煽るのかな、とも思うのでなんとも言えないが……
耐性のない人には最強のゲテモノ映画、耐性のある人にはやや物足りない、そんな作品だった。
JUN

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