kyoko

奇跡のkyokoのレビュー・感想・評価

奇跡(1954年製作の映画)
4.8
一点の曇りなく神の力を信ずる純心さはヨハンネスと少女のツーショットに狂気にも似たホラー味を与えているというのに、その場にいる者たちと同様に奇跡を待ち望んでしまった。

全員の夢オチと言われても違和感なかったと思う。これは甦った死者の物語ではなく、愛する者との別れ方を教えてくれる、生者のための物語。
忙しく働いていた母は天国では体を休めることができる、死んだ赤子は神の御許で生きている、愛した妻との思い出は生涯消えることはない、思い切り泣くがいい。
生きている限り時計を止めてはならぬ。
人生はこれからも続くのだから。

人間が美しい映画だと思う。
聡明で優しいインガーが舅を呼ぶ「ファファ(父の父=おじいちゃん)」の響きが耳に心地良い。
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