銀のしずく

奇跡の銀のしずくのレビュー・感想・評価

奇跡(1954年製作の映画)
5.0
 淡々とした感じで話はゆっくりと進む。いかにも演劇を原作にしているらしく場面も少なく会話が多い。だが光と陰の圧倒的な美しさに、冒頭からずっと退屈は感じない。ここに光がありここに影があるというのが、それ以外にあり得ない唯一無二の描写になっている。

 物語は宗教的なものではあるが、「奇跡を信じるか」というようなテーマではない。「神を信じるか」とか「宗教とは何か」というようなものでさえないと思う。人は人生に何を求め、何を求めず、何を求めなければならず、何を求めてはならないのか。それをひたすら映画的な光と陰で描いている。