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台所太平記のsayuriasamaのレビュー・感想・評価

台所太平記(1963年製作の映画)
3.5
女優オムニバス映画!時代の移り変わりと女優を愛でる作品。

とある小説家に使えた、9人の女中たちのオムニバスエピソード。結婚やら次のステップに進むためにまた一人と家を去り、新たな人が入り、最後にはお手伝いさんの考えも変わり、小説家夫妻も一軒家からマンション暮らしを検討する作品。

時代は大きく分けて京都時代と伊豆山時代があり、また戦争を挟み世代の意識の変化を思わせるところが面白い。
女中さんたちは
初(森光子)・梅(乙羽信子)・駒(京塚昌子)の時代
その後初と梅が家を去ったあと
小夜(淡路恵子)と節(水谷良重)の時代

伊豆山時代では
百合(団令子)・銀(大空真弓)・
鈴(池内淳子)の時代がきて、万里(中尾ミエ)がお手伝いさんのラストを飾る。 

…書いてるだけで随分女優が多い。
この中でもインパクト大なのは淡路恵子演じる小夜。声が低くてさらにレズっ気。さすがにクビになってました。
さらに酒乱の乙羽信子、奔放すぎる中尾ミエ等々みんな個性的で正にオムニバス・ダイジェスト映画。あらすじ=ネタバレになる程度のサクッとした文芸物。
彼女たちの夫役として登場する男優陣もポイントリリーフ的に面白おかしくしてくれます。
そして、小説家夫妻を演じる森繁久彌&淡島千景は、この女優たちを受ける演技に徹して普段よりおとなしめ。ラストの余韻はさすがの名コンビぶりがしのばれました。

平面的な印象で単調なのは否めないですが、60年代東宝喜劇(駅前・社長)ファンや、その後に制作されたホームドラマでお茶の間をわかしたあの人の若い頃をまとめてみるにはいい作品でした。
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