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パンズ・ラビリンスのmoekoのレビュー・感想・評価

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
3.5
ダークファンタジーに分類されるこの作品。登場する架空のキャラクターとかが何とも言えず気持ち悪くて、これがダークファンタジーってやつか、でも、ロードオブザリングとかも充分気持ち悪かったし、何が違うんだろう、と思って前半を見ていました。でも、終盤に差し掛かるにつれ、おとぎ話の存在意義がわかってきて、何とも暗く重いものを感じました。作中のおとぎ話がダークなのではなく、この作品自体がダークでした。
ひとことで言ってしまえば現実逃避の話なのだけど、彼女を非現実に追い込むに至った環境が、とてもつらい。そして、心の拠り所がおとぎ話しかなかったことも悲しい。でも、一方で、娯楽ってそういうものだよな、と納得しました。娯楽って、つらかったり悲しかったりする時、心の拠り所になりますよね。私にとっての映画や小説、美術鑑賞がそうであるように、彼女にとっておとぎ話の世界が、唯一の明るい場所だったんだろうな。個人的にとても共感できる作品でした。
そして、こんな風に戦争や独裁の惨さを伝えてくれる作品も、あまり多くはないかな、と。みんなが現実の世界で明るく生きられる世の中になりますように。
先述した通り、つらくて悲しくて暗い話です。大人向けファンタジーです。気分があまり落ち込んでいない時にどうぞ。
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