がちゃん

48時間のがちゃんのレビュー・感想・評価

48時間(1982年製作の映画)
3.9
いがみ合ってばかりいる二人が、
ある事件に協力して挑むうちに、
自然と友情が芽生えてくるというお話は、
『夜の大捜査線』(1967)を代表として珍しくない筋立てなので、
腕のない監督が演出するとどこか退屈になってしまうものだが、
本作は、当時絶頂期だったともいえるウォルター・ヒル監督なので、
最後までワクワクドキドキしながら一気に見せてくれる快作です。

囚人に野外で労役をさせているところに、
先住民が現れて看守の警官を射殺し、
囚人の一人を連れて脱走する。

このオープニングから切れ味鋭い展開で、
ポール・ニューマン主演の『暴力脱獄』(1967)を彷彿とさせる。

この逃げ出した囚人はギャンズという名の凶悪犯で、
遂には警官二人も殺してしまう。

殺された警官の同僚だった刑事ジャック(ニック・ノルティ)は、
昔のギャンズの仲間で、
現在服役中のレジー(エディー・マーフィー)を刑務所から引っ張り出し、捜査に協力させる。

このレジーが、
すこぶる抜け目のないやり手の男で、
捜査に協力しながらも、
なにか重要なことを隠しているようであり・・・

まず、荒っぽい刑事ジャックに扮したニック・ノルティーが、
嗄れ声でタフガイの魅力を見せる。
そんな強面のジャックも女性にはからきしというのが笑わせる。


そして相棒のレジーを演じたエディー・マーフィーが、
主人公ニック・ノルティーを喰ってしまうほどの演技。

彼が主演した『ビバリーヒルズ・コップ』(1984)のような、
速射砲のようなマシンガントークがないのがいい。

また、
『ナッティー・プロフェッサー』(1996)のような、
いかにもコメディアンですよという演技をしないのもいい。

敵役のギャンズが極悪非道で頭がよく、
とても強いのもいい。

アクション映画は、
敵が強ければ強いほど面白くなるのだ。

ウォルター・ヒル監督は、
坂の多い街を効果的に使ったカーアクションシーンに気合を見せる。

酒場での乱闘を派手にやったりするのも、
ヒル監督らしい。

地下鉄の構内で、
悪党同士の金の受け渡しの現場を抑えようとする二人の描写も、
混雑する人込みを利用してスリリング。

『ウォリアーズ』(1979)もそうだが、
地下鉄のサスペンスを撮らせたら天下一品だ。
編集も見事だな。

ラストの二人の別れのシーンも、
軽くひねっていて心地いい。

別れる二人を乗せた車をカメラが追い、
パンして街並みをとらえるともう夜明けになっている。
ちょっとだけセンチな気分になせてくれる演出もいいですね。

やっぱり、ウォルター・ヒル監督はいいなあ。

がちゃん

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