掛谷拓也

月曜日のユカの掛谷拓也のレビュー・感想・評価

月曜日のユカ(1964年製作の映画)
3.7
とにかく二十歳の加賀まりこが可愛い。コケティッシュという概念を人にして動かしたようだ。60年前後の横浜の垢抜けた雰囲気をおしゃれな構図にして加賀まりこを配置するだけで絵になる。野毛山のあたりだろうかユカが囲われている家も当時なりのセンスでおしゃれ。隣家と一緒に撮ったショット、家の中で港の夜景が映る窓を横にチェアの座面に両足をつけて座る姿。いくつもハッとする構図がある。買い物に出かける元町、朝帰りで歩く本牧、ホテルニューグランド、赤灯台。米兵のオンリーさんだった母親に「男には尽くすことが大事」と育てられ奔放に行動しながらキスだけは許さないという設定で、パパにも大切にしてもらえないという男の理想的アンドロイドの危うさがテーマ。タイトルといい設定といい「日曜はダメよ」は思い出すし、ファッションはオードリー・ヘップバーンを思い浮かべた。黛敏郎の音楽が時代らしくよかった。懺悔のシーンがあったり、部屋にマリア像があったりするがキリスト教から宗教実存的に解釈できるのかは考えてみたが分からなかった。