掛谷拓也

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンの掛谷拓也のレビュー・感想・評価

4.0
テンポがいいので長さを感じない。とはいえやはり長い。最後の1時間は楽な姿勢を探してゴソゴソした。しかしこの長さを自宅で見ると気になると調べものをしながらでこの時間では見られない。3時間以上スマホも触らず100年前のオクラホマの世界に没入できたのは映画館のおかげだ。

原作のシリアスな犯罪ノンフィクションとはかなり雰囲気が違った。原作にはこの映画で描かれた史実をライターが取材を通じて発見する過程が描かれる。こちらの方が好みだった。オセージ族はこの時期世界で最も生活水準が高かったのに、白人と比較して平均寿命が短い。捜査されなかった事件が数多くあることや、殺されたあと別の病名で記録されることも多かったと後に判明した。ある意味当時この地域にいた白人全員が共犯者だ。また原作の3分の1はFBIの誕生とフーバー長官の捜査意図に割かれていて、この部分も面白い。

この映画はこれらをヒューマンドラマにしている。文句なしに面白く、上質ではあるのだが。

映画を見てこの暗闇に興味を持った方には原作をオススメしたい。