てっちゃん

この森で、天使はバスを降りたのてっちゃんのレビュー・感想・評価

2.6
原題は「The Spitfire Grill」。
これだと頭が悪い私には、なんのこっちゃって感じのタイトル。
実はこのすんごいタイトルは本作の舞台となるカフェ?の名前でして、断然邦題勝ちですね。

物語は、刑期を終えた主人公のパーシーが、見知らぬ田舎街で人生の再出発を行う。
でも、かなり閉鎖的な街で住民たちから歓迎されていない様子。
ひょんなことからカフェに居候することになったパーシーだけど、そこの主の婆さんが気難しい感じ。
気が合うシェルビーと仲良くなり、徐々にパーシーが住民たちを変えていき、やがては街全体を巻き込んでいき、とあるイベントで街は大盛り上がりして、、、みたいな感じの話。

どうです?なかなかよさそうでしょ?
でも本作は、そこにパーシーが過去から逃れられなくなっていて、それに対する一種の償いをするという出来事も盛り込んであり、よりパーシーが過去にどう立ち向かっていき、どうやって乗り越えていくのかという話になっているわけですね。

ベタな話なんですよ、それは分かっているけども、やはり観ていて人々の表情が徐々に和らいでいく過程は良い話だなって感じで観ていたので、とてもご満悦でした。
お前、こんだけ絶賛しているのに、なんで低評価なんだ?と、お察しの方もいることでしょう。

本作は、終盤が本当に酷いんです。
というか”気持ち悪かった”っていうのが正解なのかな。
あのようなラストは私自身望んでいなかったのは当たり前だけど、パーシーのことを考えても、それは酷すぎるでしょ。
パーシーというキャラクターの歩んできた人生からして、そんな最後ある?

しかも、なんで美談にしようとしているの?
本気でパーシーのことを考えていたら、あんな風にこれから向かっていける?
製作陣はこれを何とも思わんかったんだろうか。
一気に気持ち悪く感じてしまった。
一連の流れと、薄ら寒い感動で終わらせようとされると、そんな人間良いもんじゃねえぞって逆に思ってしまった。

田舎街の住人たちの恐怖を描いている(人間怖いってやつ)作品っていうのが読み取れはしないのか?って、1000歩も譲って考えてみたけど、そんな気配は全く感じることがなく、無意識で作っているんだろうなって感じた。

類似作品でいうと、ラースフォントリアー監督さんのドッグヴィルが思い浮かぶけど、各段にこっちの方が好き。
まあ比べるものではないと思うけど。

久しぶりに、不快になる作品を観たなと感じた夜でした。
てっちゃん

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