シノミー

ミッドナイト・イン・パリのシノミーのレビュー・感想・評価

ミッドナイト・イン・パリ(2011年製作の映画)
3.9
真夜中のパリは魔法にかかる。

パリへの愛が凝縮された作品です。
フランスに旅行に行く前に観たら絶対テンション上がると思うし、別に行かなかったって自ずとテンションは上がる。

主人公のギルは空気読めないし、気まぐれで、協調性には欠けるけれど、追い求める理想とかロマンとかは人一倍大きくて、オシャレな人だった。

美術の知識も絵画の知識も無いけど、終始オシャレで楽しげな雰囲気が漂っている今作は飽きることなく観ていられた。
美術オタクにはたまらない作品になるに違いない。

でも今作の趣旨は芸術への理解でも、美術への愛でもなく、時間の流れだったように思える。

過去へは行けないのは当たり前の話で、だけど過去のことを学ぶことができて、そこから得られるものがある。

老人が言う「昔はよかった」という台詞の意味を考えさせられる映画だ。誰でも懐古主義になる時はあると思うけど、それは本当に昔はよかったのか?

昔に憧れを抱いて、今を楽しめないなんて嫌だと思う。昔に戻ったとしても、昔の人はそのまた昔はよかったとでも言い出すだろう。

変われるのは自分しかいない。過去を変えることはできないけれど、自分を変えることはできる。
意外なところで終わる映画だけど、これがこの映画の良さであり、彼の選択なのだと感じた。
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