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寒い国から帰ったスパイのmiumiuのレビュー・感想・評価

寒い国から帰ったスパイ(1965年製作の映画)
4.0
ジョン・ル・カレ原作『寒い国から帰ってきたスパイ』の実写映画版。1965年の作品。
原作ファンです。
ずっと観たかった作品、デジタルリマスター版が出てくれてありがたい。

モノクロ作品ながら、構図をはじめとした映像がとても美しかった。
役者・キャラクターも概ね原作のイメージ通り。
『裏切りのサーカス』では主役のジョージ・スマイリー(本作では脇役)は、こちらの作品の方がより原作のイメージに近づけている感じ。

まだベルリンの壁が存在していた時代が舞台。
英国諜報部員のアレック・リーマスが、東ドイツ諜報部の凶悪な人物ハンス=ディーター・ムントを失脚させるための諜報活動を行うストーリー。
映画もほぼ原作どおりの展開。諜報活動をリアルに追う作品で、アクションは特に多くない。そういうのを期待すると退屈かもしれない。

どこからどこまでが諜報活動で、どれがリアルな生活なのか、作戦の全貌も最後まで見てやっとわかる。
国のために個を殺して生きざるを得ないスパイの哀しさ、孤独な生活の中での愛、生き様の虚しさが胸に迫る映画。

数年前に刊行された続編かつサイドストーリーの『スパイたちの遺産』も映像化してほしいなあ。
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