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ブエノスアイレスのRyuのレビュー・感想・評価

ブエノスアイレス(1997年製作の映画)
3.6
アルゼンチンを旅するゲイカップルのファイとウィン。イグアスの滝を目指すが、道に迷い、金も使い果たし、喧嘩別れしてしまう。その後何度も「やり直そう」と復縁を迫るウィンをファイは突き放す。しかしウィンが怪我をしたことによりファイはやむなく看病することになる。

映像の魔術師 ウォン・カーウァイ。今回はアルゼンチン ブエノスアイレスを舞台にゲイカップルを描いています。
モノクロ映像から始まり、「やり直そう」のタイミングでカラーになる。アルゼンチンは香港の裏側ということで、香港を逆さまに見せる。演出も相変わらずめちゃくちゃオシャレです。他にもムーディな音楽にタバコなど、雰囲気作りはピカイチです。
ストーリーとしては、愛し合いながらもすれ違うカップルの様子をひたすら見せられる というものなので、ちょっとダレたりもしました。でもカップルの関係性ってこんなもんなのかもしれませんね。愛を求めるウィンと、ただ傍にいてほしいファイ。利害は一致しないはずなのに、完全に別れられない。これだから愛って厄介な感情でもあると思うんですよね。
そんな繊細で複雑な心理をトニー・レオンとレスリー・チャンの演技とウォン・カーウァイの映像が見事に魅せてくれています。
自分には理解できない部分もあるのに、独特な世界観になぜか惹き込まれる、不思議な魅力がある作品でした。これはウォン・カーウァイの作品を観ると毎度思いますね。
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