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愛は静けさの中にのRyuのレビュー・感想・評価

愛は静けさの中に(1986年製作の映画)
3.6
教師のジェームズ・リーズはメイン州の片田舎にある聾学校に赴任してくる。そこで、5歳からこの学校で学び、昔は優秀な生徒だったが、今は学校の清掃係をしているサラ・ノーマンという女性と出会う。ジェームズは、殻に閉じこもるサラを根気強く説得していく。その内に彼女を愛してしまったジェームズはサラに想いをぶつける。

自分の殻に閉じこもる聾者の女性と、その殻を破ろうとする教師の男の恋愛モノ。
このジェームズは色んな学校で教えてきた という実績もあるし、サラを救おうとする思いは本物だと思います。でもやっぱり、ちょっと自分の正義を相手に押し付け過ぎなところがあるんじゃないかと思ってしまいました。告白のシーンもそうですが、どうしてもストーカーっぽく見えてしまうんですよね。自分の気持ちに正直になって、行動に移せるのはある意味羨ましいです。
サラもサラで、かなり頑固な性格をしております。しかし終盤で語られるように、こうして怒りでコーティングしないと、自分が傷ついてしまう。これが辛いんですよね。でも、この気持ちもちょっと分かるかも。結局メンタルが強くない人間ってのは、潰れないために無理矢理にでも、強くあろうとしてしまうんだと思います。
そんな2人が愛し合ってしまったってんだから、まぁ順風満帆とはいかないですな。互いに気持ちをぶつけ合って、紆余曲折ありながら、愛を確かめ合う。恋愛モノとして、間違いのない展開だとは思うんですが、ラストがちょっと駆け足&丸く収まりすぎ かなって思いました。
サラを演じたマーリー・マトリンは今作が映画デビュー作であり、21歳で史上最年少のアカデミー主演女優賞に輝くとともに、聾の演技者として初のアカデミー賞獲得にもなりました。実際に聾の方ということで、やっぱ手話のキレが違いますね。感情が前面に出る声がない訳なので、手の動きや、美しすぎる顔からの表情を前面に出した感情表現が見事でした。ジェームズ役のウィリアム・ハートとは今作の共演を機に、実際に交際していたらしいですが、こちらも色々ゴタゴタがあったみたいですね。
恋愛モノとしてめちゃくちゃ印象が残るタイプではないですが、実際の聾者が演じた ということや、その人の凄まじい美貌など、マーリー・マトリンの印象は強く残る作品でした。
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