シネラー

サイコのシネラーのレビュー・感想・評価

サイコ(1960年製作の映画)
4.5
ヒッチコック監督の古典的名作である
本作を初鑑賞。
古典作品を鑑賞すると古さ故の
テンポ感や先の読める展開もあって
退屈に思えてしまう時もあるのだが、
本作に関しては最初から最後まで
集中して観られる見事な
サイコ・サスペンスの金字塔だと思った。

職場の大金を持ち逃げし、
恋人サムに会いに行こうとする
マリオンが道中のモーテルに泊まり、
そこを切り盛りする青年ノーマンと
出会った事で始まる
サイコ・サスペンスとなっているが、
不気味に漂う作中の雰囲気や展開は
今でも見応えある古典だった。
物語の前半で事件が起き、
後半からは事件とモーテルの真実が
解明されていくのだが、
その物語の構成からも地続きとなる
不穏さが顛末に至るまで常に
感じられて良かった。
細かな演出としても、
マリオンが車で逃避行する際、
関係者の台詞の挿入やBGMから
逃げている焦燥感がよく出ていると思った。
そして、
最初は好青年な印象だったノーマンが、
母親の話題でマリオンと対話するあたり
から不気味さを醸し出し、
結末の笑みと繋がるのは印象深かった。
有名なシャワーシーンに関しても、
忍び寄る影からシンプルな恐怖感があり、
その後の後始末まで淡々と描かれている
のは生々しかった。

気になった点としては、
結末におけるノーマンの服装は
状況的には狂気染みた怖さはあるが、
客観的に観ている身からすると
笑ってしまうのは否めなかった。
又、序盤にマリオンを怪しいと
中古車店まで追いかけていた警察が、
それ以降は全く登場しないのは意外だった。

内容の真相は鑑賞前から知っていただけに、
もっと何も知らない状態で観たかった
と思う古典的傑作だった。
我が兄が高校生位の時にシリーズの
"3"までは観ていた記憶があるが、
本作を越えられないと思いつつも
時間を置いて観てみたいと思った。
(兄から円盤を借りよう)
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