ここ数日、やはり何も手につかないんだけど映画は観れるようになったんで、アマプラですごいことになってる日活諸作を観てたんすが、凄いの観た!感想、興奮しながら書いたから滅茶苦茶なんだけど、以下。未だに慌ててます。渡辺美佐子様は最高だ!
【2021/155】
前田満州夫『人間に賭けるな』日活/1964/Amazon Prime。評判はきいてましたが、これはヤバかった。渡辺美佐子様主演、そして独壇場!俺が渡辺美佐子様の大ファン、と言うことは差し置いても、これは本当に凄まじい。心の名作「競輪上人行状記」の翌年の封切りなれど、あの競輪上人の前日譚とでもいえそうな大傑作。
「好きになるってことは命懸けさ。それも自分で自分のカタをつけないとねぇ」
みたいな捨て台詞からのラストのあの表情…。乱れ曇での高峰秀子に勝るとも劣らない壮絶さ。(告訴せず、の江波杏子的でもある)。前田監督のハイカラかつスピーディーな演出、横幅を利用したキラーな構図の数々はまるで走馬灯のようにまわり、人間の業を浮き彫りにしすれ違わせ嘲笑っているかのよう。企画は水の江滝子。
大阪の安ホテル(釜ヶ崎だろうな)で互いの虚無を貪り尽くし合うような情事の後の賢者タイムでの独白 “昨日は人間になった、と思ったけど…落っこちちゃった…”で号泣。そして歌い、踊り、舞い上がって変容し、一線を軽ーく踏み越えて振り向きもしない美佐子様。競輪上人で感じ入った人は是非ともな作品だと思います!
しかし、63年64年、所謂東京オリンピックまでの日本映画に横溢する投げやりさ、ふてぶてしさ、所在のなさ、命の軽さ、そして、激しさ、ってのに、第二次大戦、敗戦の影を見ることは滅茶苦茶容易で、個人的な意見だけど、1970年代までの映画はすべからくも総て『戦争映画』なんだろうと思ってます。そして、『戦争を知らない子供たち』による『おいしい生活』的な発想が全てを過去に追いやり、起伏の乏しい、それまでとは全く違った意味での、破裂することのない地獄のような「退屈さ」の中に飼い慣らされて豚のように太り、自分を自由だと思い込みながら破綻していくんですな。それも真綿で首を絞められるように。
いやー、アマプラ、ありがとう!#人間に賭けるな #前田満州夫 #渡辺美佐子 #川地民夫 #藤村有弘 #日活 One Of The Best JP noir with HorceRace starring #MisakoWatanabe