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スティーヴン・キング 痩せゆく男のhoteltokyoのレビュー・感想・評価

3.7
食に関して人一倍うるさく恰幅のよういビリーは、様々な方面でやり手の弁護士として名を馳せていた。ある日の夜、ドライブ中の妻の奉公で気が散漫になったビリーは、道を歩いていたジプシーのおばさまを轢いてしまう。だがそこはやり手の弁護士。様々な関係者に手を回し過失致死を回避、これに激怒したジプシーの長はビリ―に不思議な魔術を施す・・・次の日からみるみるうちにやせ細るビリーであった・・的な物語。

スティーブン・キング原作『THINNER』の英語版。呪いでどんどんやせ細っていく男の話と考えれば誰でも思いつきそうな話なのにも関わらず、スティーブン・キングにもなるときっちりまとめ上げ1本の映画にできてしまう。それほど映画としてはまとまりきっていた。もちろんジプシーの呪いはビリ―だけでなく、ビリ―の過失致死を回避した関係者の悪い男たちにもかけられていた。ある男は鱗のような皮膚となり、またある男はXXXにより死んでいく、スティーブン・キングがよく用いるネイティブ民族が持つ不可思議なパワーは今作でも健在だ。だが本当の恐怖はそこではない。まともだった人間の精神が徐々に壊され、自我が歪み、本来の自分の姿が顕になっていく。そう、ジプシーなんて可愛いもの、と思えるくらいに。

そして薬屋の主人、これスティーブン・キング本人では・・?と思ったらまさにそうだった。人一倍きな臭い男が登場したら気をつけよ、その男は間違いなくスティーブン・キングだ!
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